「キリストの涙」というバンド名のとおり主にヨーロッパの風景を連想させるような異国情緒のある楽曲が特徴的。 複雑な楽曲構成を好みアルバム曲においては特にその傾向が著しい。ブルースやプログレッシブな音楽要素も多分に含まれる (ボサノヴァをモチーフにする事もあった)。ツインギターアンサンブルが奇抜で、 攻撃性に特化しないテクニカルかつ巧妙なコンビネーションアプローチは世界的に見ても希有な個性を醸しているといえる。 またボーカルの声質も当バンドの重要な個性である。
Vo:TAKA
透き通るような独特声質が特徴的なボーカリスト。本人は自分の声質について「LOW(低音)が強い」と語っており、
それ故か聴いていて非常に心地の良い温もりのある声である。ファルセットの使用は散見されるが、シャウトやデスヴォイス等の攻撃的な発声は使用しない。
あくまで自身の地声の響きを大切にするスタイルのようである。世界観の濃い楽曲が特徴だが、ライブでのMCは非常に爽やか。
Gt:HIRO
ハードロックをこよなく愛するテクニカル・ギターヒロー。しかし純なハードロックアプローチに終わらないのがHIROさんの恐ろしい才能である。
異弦同音を駆使して鐘の音のような音を出したり、ボリューム奏法やダブルストップで風の音を再現するなど非常に表現力豊かである。
ギターソロについて「ペンタトニックスケールを使うにせよ、節々でスケール外の音も使うと面白みが増す」と語っており、
感情表現に長けた演奏が上手く、メロディセンスやメロディ展開も秀逸である。伴奏においては安易なパワーコードを好まず、
二声によるカッティングやテンションコードを好む傾向がある。
Gt:KOJI
立ち位置はリズムギター担当であるが、実際のところリードギターを奏でる事も多い。左右で交互にギターソロが飛び交うのが当バンドの醍醐味でもあり、
ツインリードやユニゾンも多用している。根はハードロック気質なのだが、HIRO(Gt)に比べ様々なギターアプローチを試したがる傾向があり、
ネオクラシカルやブルースの要素を取り入れる事もある。メロディセンスにも長けておりギターソロでは緩急のついた素晴らしいフレーズを聴かせてくれる。
伴奏のアプローチも多彩で面白みがあり、当バンドではコーラスのアルペジオフレーズを担当する事も多かった。
Ba:SHUSE
「鉄の壁」とも称される程に安定したベースを弾くが、演奏内容は非常に難解である。技術評価の高いベーシストでフレージングも見事である。
インタビューにて「上昇音階が好きで使いたくなる」と語っていた事もある。そして安定したベースを奏しているにも関わらず、
ジャンピングやヘッドバンキング、コーラス等を積極的に行ない、ライブを盛り上げる。ヒューマナイザーなど飛び道具的エフェクターも好んで使用しており、
ベーシストの中ではエフェクティブであるといえる。マイクスタンドに弦を押し付けてスクラッチ音を出すパフォーマンスを良く見かける。
Dr:LEVIN
一打一打を非常に大切にするドラマーで比較的に手数は少なくシンプルな方である。
しかしアプローチは複雑でタメ等独自のリズム感覚を駆使した個性的なドラミングを奏する。
音源においてリバーブ(残響音)を大き目にかけて迫力のある音を実現させるなど音に対するこだわりが非常に強い。
スティック回しやスティック投げを得意とし、踊るようにドラムを叩く独自の奏法である。そのためライブパフォーマンスに長けてい事も特徴の一つといえる。
1.forest(メロディアス:5、攻撃性1:、V系世界観:5)
インディーズ期の代表曲でライブの定番曲でもある。バンドコンセプトに合った中世ヨーロッパの香りが漂う内容で、
楽曲構成が作りこまれているのが特徴である。伴奏においてはHIRO(Gt)さんの凄まじい演奏表現力が光っており、
楽曲イメージを支配するアルペジと・ボールカに絡みつくカッティングフレーズが見事であなんともHIROさん(Gt)らしいアプローチである。
KOJIさん(Gt)は途中まで存在感がやや薄いのだが間奏にてその存在感はまさに独壇場と化す(音量は小さいがAメロでは個性的な単音リフを弾いています)。
神秘的なコーラス系のカッティングから美しいギターソロへの運びもはやは文句のつけどころがない。
もちろん丁寧に織り込まれたリズム隊の名演奏もわすれてはならない。後にシングルカットされた
「IN FOREST」と
聴き比べてみると当バンドの音楽性の変化がよく分かるので是非確認してみて頂きたい。
PV動画: http://www.youtube.com/watch?v=L8gZsn3CEaY
LIVE動画: http://www.youtube.com/watch?v=3DEE8Ee3zFY
収録アルバム:「Dwellers of Sandeastle」 「GREATEST-HITS(ベスト)」
「Sound & VisionTHE SINGLES(ベスト)」 「La'cryma Christi Singles+Clips(ベスト)」
2.ivory trees(メロディアス:5、攻撃性:2、V系世界観:5)
「片思い」がテーマのメジャーデビューシングル。舞台の参考になっているのはイタリアのスペイン広場。メロディアスの楽曲の中に多くのテクニカルなギターアプローチを惜しみなく引き倒すHIROさん(Gt)作曲らしい名曲。イントロから響き渡るKOJIさん(Gt)のメインリフは異弦同音を積極的に用いたフレーズで、11フレット以降の押弦と開放弦を絡ませたユニークなコードストロークを行なっている。シェイクのリズムを用いたノリの良い楽曲である。リードギターが交錯したラクリマらしい演奏内容なのでライブ映像は特に一見の価値あり。
PV動画: http://www.youtube.com/watch?v=jS5OKg7qBjc
LIVE動画: http://www.youtube.com/watch?v=5lMBX86I-Gc
収録アルバム:「Sculpture of Time、Single Collection(ベスト)」 「Sound & VisionTHE SINGLES(ベスト)」
「La'cryma Christi Singles+Clips(ベスト)」
3.未来航路(メロディアス:5、攻撃性:2、V系世界観:3)
当バンドで最も知名度の高いシングル曲。爽やかなメロディラインが印象的なKOJIさん(Gt)曲。
特筆すべきはこの楽曲を美麗に歌い上げるTAKAさん(Vo)。サビやギターソロ後のDメロの歌い上げでは自身の声質を最大限に活かしている。
PV動画: http://www.youtube.com/watch?v=foTNvHihhmw
LIVE動画: http://www.youtube.com/watch?v=_MtjcVctyXs
収録アルバム:「Lhasa」 「Single Collection(ベスト)」 「Sound & VisionTHE SINGLES(ベスト)」 「La'cryma Christi Singles+Clips(ベスト)」
4.偏西風(メロディアス:3、攻撃性:2、V系世界観:5)
初期の代表曲。使用している和声が複雑なもので独自の雰囲気を醸す要因となっている。当曲のギターソロを弾いているのはHIROさん(Gt)、「偏西風の様々な表情」を再現したかのような卓越した演奏表現は特に聴きどころ。イントロから用いられているKOJIさん(Gt)の印象的なアルペジオはBm7(add9・11)コードが基になっており、m3度と9度の半音階をぶつけた(意図された)不協的フレーズである。
PV動画: https://www.youtube.com/watch?v=PJMkshEr65k
LIVE動画:http://www.youtube.com/watch?v=bZw_3bG3e0U
収録アルバム:「Sculpture of Time」 「GREATEST-HITS(ベスト)」
「Single Collection(ベスト)」 「La'cryma Christi Singles+Clips(ベスト)
5.Lhasa(メロディアス:4、攻撃性:3、V系世界観:4)
中期の代表曲で、複雑な進行をするバラード曲でプログレッシブの要素も多分に含んでいる。印象的なイントロの鐘のようなギター、こちらも開放弦を駆使したEmコードが正体である。左右から展開する絶妙なコンビネーションギターと重々しくも味わい深いベースとドラム、そこに突き刺さるTAKA(Vo)の歌声はLa'cryma
Christiの真骨頂である。後に別バージョンとして発表されたLhasa(unplugged)と聞き比べてみるのも面白い。
LIVE動画: http://www.youtube.com/watch?v=0lR-staF5iE
収録アルバム:「Lhasa」 「GREATEST-HITS(ベスト)」